会計・監査日記

気ままに会計や会計監査について書いてます。簿記の勉強している人たち参考にしてくれると嬉しいです。

仕訳イメージ 株式関連⑥(減損処理)

本日は、減損処理についてです。

そもそも減損処理とは??

株式の取得時の時価や取得価額に比べて、期末時の時価や実質価額が著しく低下した場合に、

その貸借対照表価額をその分減額することを言います。つまり、今はその株式についてそんなに価値がないから今の相応の価値に評価し直すことです。

 

それでは、どのような場合が、著しく下落した場合に該当し、どのような場合に処理が必要になってくるのかが重要になってくると思います。以下、時価のある株式と時価のない株式に分けて説明します。(一部金融商品に関する実務指針を抜粋しています。)

 

時価のある株式


時価のある有価証券の時価「著しく下落した」ときとは、必ずしも数値化できるものではないのですが、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。この場合には、回復可能性について合理的な反証(理由)がない限り、 時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなけ ればならない。上記以外の場合には、状況に応じて、個々の企業において時価が「著しく下落した」と判 断するための合理的な基準を設け、当該基準に基づき回復可能性の判定の対象とするか どうかを判断する。
なお、個々の銘柄の有価証券の時価下落率がおおむね30%未満の場合には、一般的 には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられます。
時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは、株式の場合、 時価の下落が一時的なものであり、期末日後おおむね1年以内に時価が取得原価にほぼ 近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいいます。

 

債権についても基本的な考え方は同様です。(回復可能性があるかどうかの判断)

債券の場合は、単に一般市場金利の大幅な上昇によって時価が著しく 下落した場合であっても、いずれ時価の下落が解消すると見込まれるときは、回復する 可能性があるものと認められるが、格付の著しい低下があった場合や、債券の発行会社 が債務超過や連続して赤字決算の状態にある場合など、信用リスクの増大に起因して時価が著しく下落した場合には、通常は回復する見込みがあるとは認められないことになります。

 

監査をする上でも、どういった背景で時価が下落しているのか、場合によっては回復可能性があるのかという事実確認は重要になってきます。

 

まとめると、

①50%程度以上の下落

②回復可能性がない

上記2点当てはまれば、「著しく下落した」に該当します。

 

 

 

時価のない株式

時価のない株式は、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として処理(減損処理)しなければならないとされています。(金融商品会計基準第21項)。
また、時価を把握することが極めて困難と認められる株式(時価のない株式)の実質価額が「著しく低下 したとき」とは、少なくとも株式の実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した 場合をいう。ただし、時価を把握することが極めて困難と認められる株式の実質価額について、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合には、期末において相当の減額をしないことも認められる。
財政状態とは、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成した財務諸表を 基礎に、原則として資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額(*)をいい、財政状態の悪化とは、この1株当たりの純資産額が、当該株式を 取得したときのそれと比較して相当程度下回っている場合をいう。

 

 

まとめると、

①実質価額の50%程度以上の下落

②回復可能性がない

上記2点当てはまれば、「著しく下落した」に該当します。

*実実質価額とは、資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額(上記抜粋)

 

減損処理の内容やなぜそのような処理をするかについての説明は終わりです。

それでは、仕訳についてです。

 

前提

投資有価証券(時価のある)50,000(取得原価)について、当期末の時価が20,000となった。

回復可能性は認められない。

 

 

仕訳

借方 投資有価証券評価損30,000/ 貸方 投資有価証券30,000

 

となります。

仕訳自体はとてもシンプルです。

 

明日もよろしくお願いします。