仕訳イメージ 株式関連⑥(保有区分の変更)
本日は、一昨日に続き、保有目的区分の変更のお話です。
この前は、こういう理由で保有目的区分は行われるよということまで説明しました。
それでは、どのように処理されるのでしょうか。
それぞれのパターンについて見ていきましょう。
①売買目的有価証券⇆その他有価証券
この場合は、区分変更時の時価をもって振替を行い、その際生じる評価差額は純損益として計上します。これは、そのときの時価で売って損益を確定させ、その後新たに取得し、保有区分変更後の区分に分類したと考えて行われる処理です。
前提
帳簿価額500
振替時の時価800
仕訳
借方 その他有価証券(投資有価証券)800/貸方 有価証券500
有価証券運用損益(有価証券評価損益)300
②売買目的有価証券⇆子会社株式、関連会社株式
売買目的有価証券→子会社株式、関連会社株式
この場合は、区分変更時の時価をもって振替を行い、その際生じる評価差額は純損益として計上します。これも上記と同様の考え方です。
前提は上記と同じとする。
仕訳
借方 子会社株式または関連会社株式800/貸方 有価証券500
有価証券運用損益(有価証券評価損益)300
売買目的有価証券←子会社株式、関連会社株式
この場合は、振替時の帳簿価額をもって、振り替えることとされています。
これは、上記の考え方とは異なり、子会社株式等の売却等を繰り返した結果残った株式が
売買目的有価証券に変更とされる場合は、売却して新たに取得したとは考えにくいため、帳簿価額で振り返るのです。
前提は上記と同じとする。
仕訳
借方 有価証券500/貸方 子会社株式または関連会社株式500
純損益は発生しない。
③満期保有目的債権⇆売買目的有価証券、その他有価証券
この場合は、変更時の償却原価で振替を行う。頻繁に売買を繰り返すようなものではないから新たに取得してきたとは考えにくいからです。
前提
帳簿価額500
振替時の償却原価700
振替時の時価800
仕訳
借方 有価証券またはその他有価証券700/貸方 満期保有目的債権700
純損益は発生しない。
④その他有価証券⇆子会社株式、関連会社株式
その他有価証券→子会社株式、関連会社株式
この場合は、株式の追加取得により持分比率が増加しており、その他有価証券が子会社株式又は関連会社株式に該当することとなった場合には、帳簿価額で振り替える。
ただし、その他有価証 券の評価差額の会計処理として部分純資産直入法を採用しており、当該有価証券につい て評価差損を計上している場合には、時価による評価後の価額で振り替える
前提は上記と同じとする。
仕訳
借方 子会社株式または関連会社株式500/貸方 その他有価証券500
純損益は発生しない。
ただし書きについての仕訳
追加前提として部分純資産直入法を採用、評価差損を計上していたとする。
仕訳
子会社株式または関連会社株式800/貸方 その他有価証券500
有価証券評価損益300
その他有価証券←子会社株式、関連会社株式
この場合は、振替時の帳簿価額をもって、振り替えることとされています。
これは、上記の考え方とは異なり、子会社株式等の売却等を繰り返した結果残った株式が
その他有価証券に変更とされる場合は、売却して新たに取得したとは考えにくいため、帳簿価額で振り返るのです。
前提は上記と同じとする。
仕訳
借方 その他有価証券500/貸方 子会社株式または関連会社株式500
純損益は発生しない。
本日は以上です。
明日もよろしくお願いします。
簿記について!!重要!!
本日は有価証券等の保有区分の変更について記載するつもりでしたが、少し簿記について重要なことを話したくなりましたので記載します。
私の思う簿記で重要なことは、イメージする力です。
いつ?どの場面?誰が行う?色んな要素を想像する必要があります。仕訳が切れれば確かに財務諸表は作成できますが、面白くありません。こういう取引が行われたからこの科目が変動するんだとか、こういう考え方のもとでこの処理が行われるんだとかです。だからより学習意欲も高まり、より深く理解することができます。わたくしもこれからもっと理解したいと考えています。みなさんとおなじです。
普段過ごしていて、感じる事があります。それは、現実社会の一つ一つの行動も簿記と繋がっているのではないでしょっか。
単に、コンビニで100円のおにぎりを買う行動もです!!
みなさんも、普段から意識してみてはどうでしょうか
少し本日はいつもの流れと違う話になってしまいましたが、少し感じたので書きました!
明日は予定通り有価証券等の保有目的区分の変更の仕訳について記載します!
明日もよろしくおねがいします。
株式関連⑦(保有目的区分の変更概要)
本日はとタイトルにある通り、「保有目的区分の変更」についてです。
パターンとしては、以下考えられるかと思います。
売買目的有価証券⇆その他有価証券、子会社株式、関連会社株式
満期保有目的債権→売買目的有価証券、その他有価証券
その他有価証券 ⇆子会社株式、関連会社株式
子会社株式が、関連会社株式になっても個別財務諸表上取り扱いとしては取得原価によってBS価額としますので差はないため、上記に記載していません。
本来は、保有区分は取得時の保有目的で決まるためその後変更することは許されないものと考えることもできるが、下記の場合には変更が認められる。
売買目的有価証券⇆その他有価証券
・資金運用方針の変更又は法令若しくは基準等の改正若しくは適用により有価証券のトレーディング取引を開始することとした場合、又は有価証券の売買を頻繁に繰り返していることが客観的に認められる場合
・有価証券のトレーディング取引を行わないこととした場合
売買目的有価証券⇆子会社株式、関連会社株式
・取得を繰り返しているうちに他の会社の過半数を獲得しているような場合に保有区分を変更する必要があります。また、逆に売却を繰り返しているうちに保有比率が減少し子会社及び関連会社に該当しなくなった場合も区分の変更が必要になります。
満期保有目的債権→売買目的有価証券、その他有価証券
・一部を売却した場合などで満期まで保有する意思をもって、保有しているとは認められないためそのほかの全ての満期保有目的債権について売買目的有価証券かその他有価証券に振り返る必要があります。
さらに、当該保有区分の変更を行った場合には、変更を行った事業年度を含む2事業年度は満期保有の区分に分類できません。
その他有価証券⇆子会社株式、関連会社株式
・取得を繰り返しているうちに他の会社の過半数を獲得しているような場合に保有区分を変更する必要があります。また、逆に売却を繰り返しているうちに保有比率が減少し子会社及び関連会社に該当しなくなった場合も区分の変更が必要になります。
以上が概要の説明となります。
それでは、これらの処理がどのようになるのかについて、
明日ご説明いたします。
明日もよろしくお願いします。
仕訳イメージ 株式関連⑥(減損処理)
本日は、減損処理についてです。
そもそも減損処理とは??
株式の取得時の時価や取得価額に比べて、期末時の時価や実質価額が著しく低下した場合に、
その貸借対照表価額をその分減額することを言います。つまり、今はその株式についてそんなに価値がないから今の相応の価値に評価し直すことです。
それでは、どのような場合が、著しく下落した場合に該当し、どのような場合に処理が必要になってくるのかが重要になってくると思います。以下、時価のある株式と時価のない株式に分けて説明します。(一部金融商品に関する実務指針を抜粋しています。)
・時価のある株式
時価のある有価証券の時価が「著しく下落した」ときとは、必ずしも数値化できるものではないのですが、個々の銘柄の有価証券の時価が取得原価に比べて50%程度以上下落した場合には「著しく下落した」ときに該当する。この場合には、回復可能性について合理的な反証(理由)がない限り、 時価が取得原価まで回復する見込みがあるとは認められないため、減損処理を行わなけ ればならない。上記以外の場合には、状況に応じて、個々の企業において時価が「著しく下落した」と判 断するための合理的な基準を設け、当該基準に基づき回復可能性の判定の対象とするか どうかを判断する。
なお、個々の銘柄の有価証券の時価の下落率がおおむね30%未満の場合には、一般的 には「著しく下落した」ときに該当しないものと考えられます。
時価の下落について「回復する見込みがある」と認められるときとは、株式の場合、 時価の下落が一時的なものであり、期末日後おおむね1年以内に時価が取得原価にほぼ 近い水準にまで回復する見込みのあることを合理的な根拠をもって予測できる場合をいいます。
債権についても基本的な考え方は同様です。(回復可能性があるかどうかの判断)
債券の場合は、単に一般市場金利の大幅な上昇によって時価が著しく 下落した場合であっても、いずれ時価の下落が解消すると見込まれるときは、回復する 可能性があるものと認められるが、格付の著しい低下があった場合や、債券の発行会社 が債務超過や連続して赤字決算の状態にある場合など、信用リスクの増大に起因して時価が著しく下落した場合には、通常は回復する見込みがあるとは認められないことになります。
監査をする上でも、どういった背景で時価が下落しているのか、場合によっては回復可能性があるのかという事実確認は重要になってきます。
まとめると、
①50%程度以上の下落
②回復可能性がない
上記2点当てはまれば、「著しく下落した」に該当します。
・時価のない株式
時価のない株式は、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額を行い、評価差額は当期の損失として処理(減損処理)しなければならないとされています。(金融商品会計基準第21項)。
また、時価を把握することが極めて困難と認められる株式(時価のない株式)の実質価額が「著しく低下 したとき」とは、少なくとも株式の実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した 場合をいう。ただし、時価を把握することが極めて困難と認められる株式の実質価額について、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合には、期末において相当の減額をしないことも認められる。
財政状態とは、一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して作成した財務諸表を 基礎に、原則として資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額(*)をいい、財政状態の悪化とは、この1株当たりの純資産額が、当該株式を 取得したときのそれと比較して相当程度下回っている場合をいう。
まとめると、
①実質価額の50%程度以上の下落
②回復可能性がない
上記2点当てはまれば、「著しく下落した」に該当します。
*実実質価額とは、資産等の時価評価に基づく評価差額等を加味して算定した1株当たりの純資産額(上記抜粋)
減損処理の内容やなぜそのような処理をするかについての説明は終わりです。
それでは、仕訳についてです。
前提
投資有価証券(時価のある)50,000(取得原価)について、当期末の時価が20,000となった。
回復可能性は認められない。
仕訳
借方 投資有価証券評価損30,000/ 貸方 投資有価証券30,000
となります。
仕訳自体はとてもシンプルです。
明日もよろしくお願いします。
仕訳イメージ 株式関連⑤(子会社株式及び関連会社株式)
本日は子会社株式及び関連会社株式についてです。
今日少しボリュームが少ないですが、その分しっかり学んでください。
子会社株式及び関連会社株式
前提
A社の株式を100%取得した。取得に要した金額は10,000であった。
仕訳
取得時
借方 子会社株式 10,000/貸方 現金 10,000
期末時
仕訳なし
子会社株式及び関連会社株式についてはいずれも上記のような仕訳となります。
期末時点の仕訳を「仕訳なし」としましたが、一定の場合には、株式の評価損を計上するケースがあります。(以前紹介した、その他有価証券や満期保有目的債権についても同様です。)
その一定の場合について明日、紹介したいと思います。
明日もよろしくお願いします。
仕訳イメージ 株式関連④(その他有価証券)
本日は、その他有価証券についてです。
当期、10,000でその他有価証券を取得した。期末時点の時価は15,000だった。
全部純資産直入法により仕訳を答えなさい。
仕訳
取得時
借方 投資有価証券 10,000/貸方 現金 10,000
期末時(全部純資産直入法)
借方 投資有価証券 5,000/貸方 その他有価証券評価差額金5,000
(説明)
全部純資産直入法とは、評価差額の合計額を純資産に計上する。
部分純資産直入法は、評価益の銘柄(時価が取得価額を上回っている銘柄)のみの評価差額を
純資産の部に計上し、時価が取得価額を下回っている銘柄は損益計算書に損失として計上する方法
仕訳は上記のようになります。
その他有価証券評価が差額金が純資産の項目であるというのは覚えましょう。
明日もよろしくお願いします。
仕訳イメーじ株式関連③(満期保有目的債権)
本日は満期保有目的の債権についてです。
早速仕訳について解説します。
昨日までに説明した内容を復習の上、仕訳を学んでいただければと思います。
前提 仕訳 |
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取得時 |
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投資有価証券 9,000/現金 9,000
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期末時(1年目) | |
現金 100 /有価証券利息419 投資有価証券 319 |
9,000*4.65%=419
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期末時(2年目) | |
現金 100 /有価証券利息433 投資有価証券 333 |
9,319*4.65%=433
|
期末時(3年目償還日) | |
現金 100 /有価証券利息449 投資有価証券 349 |
9,652*4.65%=449 10,000*1%=100 |
上記のようになります。
本日は以上です。
明日もよろしくお願いします。